前々日の緒戦であっさりカブトを脱いだ首位阪神との闘い。2戦目は両軍のエース井川と番長の闘いを引き分けた。後ろにオールスターを控えていることもあって継投が持ち味の両軍が惜しみなくリリーフ陣を継ぎ込んだ。阪神も全力を注がなかったとは言わせない。横で中日が7連勝しているにしても、まるでプレーオフのような真剣勝負がそこにあったと断言できるはず。2戦目には阪神は井川のあとウィリアムズに前日の1回に次ぐ連投を命じ、藤川にも前日の2回に次ぐ連投の1回、そしてクローザーのはずの久保田にやはり1回1/3に次ぐ連投で何と3イニングを投げさせた。一方の我が軍も門倉完投負けの後の2戦目、とうとう川村の2イニング、そしてクルーンを使っての3戦目であった。このガチンコの闘いは、もしかしたら今年の日本シリーズよりも白熱した闘いであったかもしれない。

☆オールドユニホーム斉藤明夫ホーム用

 確かにこの3連戦を通じ、主砲多村を欠き代役の5番種田がブレーキになっている我が軍ももちろん、不動の4番金本と打点王今岡を擁する阪神もやはり打撃が下降線であった。それこそが死闘の投手戦を3度も続けた原因ではあるが、それにしても、各投手の持ち味が光った。緒戦の門倉も好調なら、2戦目の三浦も速球は走り、要所の変化球のコントロールも抜群であった。井川もいざスイッチが入れば剛球を続けて投げ込み、隙を与えない。勿論藤川にはつけ入る隙もない。ややくみしやすしと考えていた久保田さえ、切羽詰った場面では別人のように速球で三振を連取していた。

 そんな投高打低で迎えた第3戦。先発は予想通り斎藤隆と福原。「球は速いけど勝ちきれない準エース対決」となった。ところがその2人がすばらしい。安打性の当たりをほとんど許さなかった福原はもちろん、1軍復帰後2度目の先発の斎藤隆も150キロの速球中心で強気な攻めを続け、決め所ではド低めの直球、外角低めに逃げる変化球で抑える。こんなに生き生きとしているタカシを見るのは本当に久しぶり。ここ数年の彼は別人だったのか。涙が出そうになった。

 そんな2人も100球を超え、どちらに勝ち星がつくのか、どちらにも勝ち星をつけたい展開が続いた。そして自慢のリリーフ陣も連投後でもあり、簡単に継ぎこむわけにもいかない。まず先発投手を下げたのは阪神。8回裏に矢野の幸運な2塁打が出て藤本凡退の後の2死2塁。とうとう福原に代打の片岡を送る。ボールが先行する。歩かせれば次打者は赤星。内野ゴロが内野ゴロにならない嫌な打者。片岡でこの回を終わらせたい。カウントは2−3までいった。そしてギリギリの低めにズバリ直球。タカシが勝った。一度はそう確信させた。

 しかし阪神は9回のマウンドに3連投の藤川を送る。虎ファンがなんと言おうとこれは本気である。連投の疲れはないのか。こちらは金城から始まるクリーンアップ。しかし、まるで抵抗できず藤川の前に3者凡退で終わる。明らかに藤川が試合の流れを強く引き戻していた。

 この強い流れの中、タカシが9回のマウンドに登る。その瞬間、悲劇的な結末と、「タカシに試合を託したのだから仕方がない」という想いと、「それが投手出身の監督の戦法なのか」という想いが交錯した。よりによって先頭の赤星に四球。一番出したくない相手を出してしまう。そして鳥谷がしっかり送る。1死2塁でクリーンアップ。当然シーツを敬遠して、しかし打者は勝負強い金本。ここまできてタカシは代えられない。が、しかし、タカシは金本と今岡をしっかり抑えた。9回を零封!またしても瞼に涙がたまった。

 10回表、藤川続投。この3連戦3連投でありながら2度目の2イニング目の登板。この3連戦全くいいところのない内川に代打古木。前日の川村2イニングといい、岡田監督のテンポのいい選手交代に刺激されたか、牛監督らしからぬ「動き」。しかも古木は前日結婚を発表したばかり。やや出来すぎの感もあるが劇的な瞬間を目指し打席に入る。しかし、連投の疲れか、藤川の投球に「おさえ」が効かない。古木を四球で無死の走者を出す。打者村田。この3連戦何度この光景を見たであろう。バントの構え。1死でも2死でもとにかく走者を得点圏に送り、まぐれの安打を待ち1点を狙う。やはり投手出身か、牛監督の堅実な采配。しかし打者は村田である。2つのストライクをバントできずに追い込まれてバスターのようなことをやって三振。誰もがタカシに勝たせたいはずだったのに、阪神にキッチリできることができない。しかし、続く相川もバントの構え。2死2塁でも得点圏にこだわる牛監督。だが、藤川は相川によもやの四球を与えてしまう。ここでとうとうタカシに代打タカノリ。役者が揃い過ぎ、これで決めたらV戦士の復活で我が軍は一気に勢いづく。しかし、そんなにこの敵は甘くない。今度はウィリアムスを投入。タカノリと続くタクローを抑え込んだ。

 タカシの勝ち星がなくなった10回裏、前日2回を投げた川村が登板。両軍とも、信頼のおけるリリーフが連日勝負をかけて出てくる。まさに短期決戦さながらの展開。ここ何年も短期決戦を経験していない我が軍にとっては痺れるような緊張感が心地よい。川村は何とか10回を抑えた。

 そしてとうとう11回表。先頭打者小池の安打の後、今度は金城がバントを決める。この戦法もまるで短期決戦。あとは確率論。佐伯がやっと適時打を放ち、やっとリードを奪った。ウィリアムスも3連投で2イニング目。いくら短期決戦とはいえ、岡田監督の過酷な投手起用が今後吉と出るか凶と出るか。

 クルーンは危なげない。とうとう虎に勝った。痺れるような緊張感の中で、エースの井川や福原を立て自慢の中継ぎトリオを3連投させた現在のリーグ首位の阪神と全く五分に闘い、1勝1敗1分。目標としていた球宴前10連勝はならなかったが、最後の10試合を7勝2敗1分け。負け数の差を考えても、まだまだ闘える。今季は弱い相手には実力どおり勝ち、そして阪神と中日には実力のとおり負けてきた。だが、この3連戦を通じて、我が軍は虎の闘い方を目の当たりにしたし、そして互角に闘える自信を得たはずである。なにしろ相手はガチンコであった。そして牛監督も、残るシーズン、「勝負をかける」起用法を実感したはずである。非常に意義のある3連戦であった。7年ぶりに後半戦に期待を保ちながら球宴休みを迎えられる。オレ竜よ、球宴で首位チームの選手を酷使してくれ!陳腐すぎる言葉だが「メークドラマ」が待っている!


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